弁理士独立開業マニュアル(12)「士業の節税方法その1」

上記記事の続きです。

個人事業主の節税対策として
真っ先に検討したいのが、

中小機構の

「小規模企業共済」と
「経営セーフティ共済」

の2つです。

前者の掛け金の限度額は、
7万円/月、

後者の掛け金の限度額は、
20万円/月。

前者の掛け金は、
所得控除の対象になり、

後者の掛け金は、
全額、必要経費に算入可能です。

まずは、前者に加入し、
売り上げに合わせて掛け金を上げていき、

前者が限度額に達したら、
後者にも加入し、

売り上げに合わせて掛け金を上げていく、
のが王道でしょうか。

後者の最大のメリットは、
「前納制度」だと思います。

掛け金を前納することで、

最大で、
20万円×12か月=240万円

の必要経費が算入できます。

年度途中で
納税額が増えることが予想される場合、

前納制度を使って
必要経費を調整すれば、

納税額を抑えることができます。

ただ、

「掛け金総額は800万円まで」

という縛りがありますけど(ノ_・。)

詳しくは、
中小機構の共済制度をご覧くださいませ。

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弁理士独立開業マニュアル(11)「請求書の発行日」

上記記事の続きです。

弁理士業務に特化した
請求書の発行日について書いてみます。

お客様の要望で多いのは、

「(出願等の手続きが完了する前に)
 請求書を○月○日までに発行してもらえませんか?」

という御依頼です。

「○月○日」が、
出願等の手続を完了した日であれば
問題ないのですが、

通常は、
12月31日や3月31日など、
年度末の日付が指定されます。

お客様にとっては、
利益が出そうなので(税金が増えそうなので)、

年度内に経費として処理したい
ということなのですが、

やってはいけません。

請求書の発行日は、
弁理士業務の完了日が原則。

すなわち、
出願の場合には出願日です。

例えば、

12月が年度末の特許事務所が、
翌年の1月に出願予定の案件の出願費用を、
当年の12月付けで発行した場合、

翌年の売上を
当年に繰り上げする形になってしまい、
正確な売上計上ができません。

反対のケースが一番問題なのですが、

12月に出願を完了した案件の出願費用を、
翌年の1月付けで発行した場合、

当年の売上を翌年に持ち越すことになり、
利益調整になってしまいます。

特許事務所の場合、
出願日などの手続き完了日は
記録に残りますので、

税務署に指摘されたら言い逃れできません。

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弁理士独立開業マニュアル(10)「二次下請け業務」

上記記事の続きです。

私は

「石橋を叩いて渡るタイプ
  (”小心者”ともいう)」ですので、

「顧客あり」の状態で独立開業しましたが、

「顧客なし、コネなし」の状態、
 若しくは、それに近い状態で
独立開業する弁理士先生も多いようですね。

私の知り合いにも、たくさんいます。

でも、
潤沢な準備資金がある方を除き、

生活を維持するために、
当面の収入を確保しなければなりません。

独立開業当初の収入源として良くあるのは、
特許事務所の「二次下請け業務」です。

つまり、
特許事務所が請け負った案件の
下請けをすることです。

イレギュラーなもの?として、

弁理士資格の受験機関の講師

という収入源もあるようですけど。

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「二次下請け業務」のタイプとしては、

・勤務していた事務所から仕事をもらう場合、

・知り合いの弁理士先生から仕事をもらう場合、

などがあります。

私も、知り合いの弁理士先生が
独立開業することを聞いて、

特許明細書作成を
手伝っていただいた経験があるのですが、

その先生は、
あっという間に業績を伸ばしていったので、

直ぐに仕事を依頼する必要が無くなりました。

私としては、相談を受けたので、

スタートアップ期間だけ
サポートするつもりだったのですが、

その先生は、ロケットスタートしました(^^

独立開業したからには、
自分のお客様を獲得することが一番だとは思います。

でも、

実力が無いと
「二次下請け業務」すら需要が無いわけで、

需要があるのは良いことと思います。

あとは、

特許調査、翻訳、図面作成等を

請け負う先生もいらっしゃいますね。

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弁理士独立開業マニュアル(9)「開業当初の業務」

上記記事の続きです。

お金の話が続きましたので、
実務の話に戻します。

知財の専門家として、

「どのようなサービスを
 中心に提供していくか」

によって大きく違ってきますが、

ここでは、モデルケースとして、

大部分の弁理士が選択するであろう
「特許出願業務」
について書いてみます。

特許出願業務による主な売上を、
時系列で考えてみると、

(1)出願

 → (数ヶ月後~数年後)→

(2)中間処理

 → (数ヶ月後)→

(3)成功報酬

という感じになるかと思います。

外国出願を含めて考えると、
1件の国内出願に対して

上記の流れが、出願国の数だけ、
同時並行的に走ることになりますが、

結局のところ、
全ての起点は

最初の「(1)出願」になります。

ということで、
開業当初に注力することは、

「如何にして
 出願業務を獲得するか」、

ひいては、

「如何にして
 数ヶ月後、数年後の業務を生み出すか」、

これに尽きると思います。

他事務所の外注案件を受任したり、
中途受任をしたりしない限り、

開業当初は
「(2)中間処理」の業務は
皆無なわけで、

開業当初から数年間は、

「(1)出願」の業務だけに集中できる、

最初で最後の絶好のチャンスです。

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弁理士独立開業マニュアル(8)「回収できない未払金」

上記記事の続きです。

前回の記事では、

「特許事務所は、
 売掛サイトが長い」

「キャッシュフローの設計を
 入念に行うのがベター」

という内容を書きました。

売掛金や立替金が増えても、
支払期日までにきちんと入金があれば、

お金の出入りがあるだけですので、
事務所はうまく回ると思います。

ただ、
「支払期日までにきちんと入金があれば」 
が前提です。

開業間もない頃は、
大口・大手のお客様を獲得した幸運な先生を除き、

一般に、
中小企業や個人発明家からの単発業務が
メインになることが多いかと思います。

そうなると、
必ずと言って良いほど発生するのが
費用に関するトラブルです。

ディスカウント要求はもちろんのこと、

支払の遅滞や、
最悪の場合、費用の未払いも
発生します。

要因は、経営状況の悪化、倒産など、
様々です。

私の場合、

お客様に恵まれているのと、
お客様を選ばせて頂いていることもあり、

開業以来、
支払い遅滞や未払金の発生はほぼ無いのですが、

それでも未払金は0円ではありません。

聞いた話では、
未払金が数百万円単位になることもあるようですので、

そうなると死活問題です。

弁理士手数料は、
「授業料」として割り切ることもできるのですが、

立替金は、
お客様に代わって特許庁に納めている費用ですから、

未払いは看過できないと思います。

着手金として、
費用の全部あるいは一部を
事前に受け取るようにしている事務所もありますが、

お客様によって、
そのような対応をとるのが安全かもしれません。

個人的には、
費用のトラブルを避けるためには、

お客様の質を見抜く「目利き」も
重要かと思っています。

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彩都総合特許事務所 川越オフィス 所長弁理士のブログ