弁理士独立開業マニュアル(16)「スタッフ採用その1」

上記記事の続きです。

事務所を発展させるためには、

「弁理士業務に専念できる環境を
  早めに作る」

ことが好ましいです。

そのためには、
弁理士業務の一部を補助してもらう
人材(労働力)が必要になりますが、

雇用、派遣、親族や縁故者によるサポート等々、
人材の確保の方法は、様々です。

求人対象が、

・特許事務なのか、
・弁理士(または特許技術者)なのか、

によっても違いますし。

特許事務所の経営者の間では、

「人材の確保が先か、
 仕事の確保が先か」

という点がよく議論になります。

業務量と労働力のバランスが
常に取れているのでしたら、
特段、問題は生じないのですが、

弁理士(特許事務所)の業務は、
季節労働的な要素があって、

業務量の振れ幅が大きめです。

労働力に余裕があれば、

・仕事を積極的に受任できる、
・営業しやすい

等々のメリットがありますが、

労働力に見合う仕事が確保できないと、
人件費という固定費が重くのしかかってきます。

一方、
労働力を超える仕事を確保できる
見込みがある場合、

積極的に人材を雇用できる
というメリットがありますが、

人材確保のタイミングを逸すると、

一時的に負担が増えますし、
せっかくの仕事を失う結果にもなりかねません。

特許事務所の場合、
業務量と労働力のバランスのとり方が
とても難しいと思います。

経験的には、

前者(人材確保が先)の方が、
固定費の増加というプレッシャーは生じるものの、

そのプレッシャーが、
反って良い方向に働く気がします。

大手の特許事務所の経営者曰く、

「人材雇用に必要なのは、
 『勇気』だけ」

だそうです。

何か分かる気がします。

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弁理士独立開業マニュアル(15)「賠償責任保険」

上記記事の続きです。

弁護士、税理士、弁理士、医師など、の
専門的なサービスを提供をしている者は、

業務遂行上の過失や
義務の不履行等によって

第三者から損害賠償を求められることがあります。

過去には、
約1億円の損害賠償を請求された弁理士
もいます。

この種の損害賠償を対象とする保険として、

「専門職賠償責任保険(PI保険)」

がありますが、

弁理士の場合、

NB保険サービスの
「弁理士職業賠償責任保険」

に加入するのが定番となっています。

NB保険サービスは、
日本弁理士協同組合の100%出資会社で、

複数の弁理士が
役員を務めています。

まさに
「弁理士による弁理士のための保険」
なので、

一般的なPI保険よりも
信頼度は高いと思います。

ただ、その分、
保険料も安くはないですね(-_-;)

保険料は、

・弁理士や従業員の人数
・保証内容
・オプション

等に基づいて決まります。

未だに謎なのですが、

保険料は、

従業員の人数増加よりも、
弁理士の人数増加の方が、

高くなる仕組みになっています。

弁理士の人数が多い方が、
ミスが少ないと思うのですが…

ちなみに、

2012年度のデータでは、
約1,500の特許事務所が加入していますので、

加入率は、
20%~25%くらいでしょうか。

リスクヘッジの一つとして、
検討すべき事項だとは思います。

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弁理士独立開業マニュアル(14)「アウトソーシング」

上記記事の続きです。

経産省の資料※によれば、

「アウトソーシング」は、

「自社の資源の外部化」
または
「外部資源の活用」

と定義されています。

※アウトソーシング産業事業規模基本調査

特許事務所も、

専門サービス
(知的財産の専門知識を有するサービス)

を提供する業種として、

「アウトソーシングサービス
 を提供する業種」

の一つに含まれています。

ただ、本記事は、
弁理士独立開業のための情報提供を
目的としているため、

ここでは、

「特許事務所からのアウトソーシング」

について書いてみます。

・特許や商標の調査や鑑定、翻訳、

・特許や意匠の図面作成、

・期限管理システム、事務スタッフの派遣、

・ホームページの作成、宣伝広告、

・法律関係(弁護士)、

・確定申告等の税務(税理士)、

・給与計算などの労務(社労士)、…

思い浮かんだサービスだけでも、
これだけあります。

何をアウトソースするかは、

・事務所の業務内容
・業務量、
・従業員数、経営者の考え方
等々によって、

違ってくるものと思います。

ただ、

「業務の一部を専門業者に
 アウトソースすることで、
 本業に経営資源を集中する」

という意識を持っておくことは
大切かと思います。

ちなみに、私の場合は、
上記のアウトソーシングサービスのほぼ全てを
利用させて頂いています。

それでも、

経営者として、
アウトソーシングできない業務は
たくさん抱えていますが、

「弁理士にしかできない業務」
になるべく専念できる環境を、

早めに作り上げていくのが好ましいと思います。

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弁理士独立開業マニュアル(13)「新規顧客の開拓方法2」

上記記事の続きです。

顧客開拓については、

上記記事で
オーソドックスな方法を書いてみました。

ただ、

この種の情報やノウハウは、
いろいろなところで入手可能ですし、

それをビジネス(商材)にしている方も
いらっしゃいますよね。

あいにく、
私は、それらに勝るようなノウハウは
持ち合わせておりませんが、

顧客開拓において
心得ておいた方が良いと思う「経験則」

みたいなものだけはあります。

それは、

「先人の知恵を借りつつも、
 先人とは、少しだけベクトルをずらしてみる」

ということです。

具体的なことは書きずらいので、
ぼんやりしていますが(-_-;)

結局は、
先人と同じことをしていてはダメなので、

先人を見習いつつ、

それをベースに、
自分なりのアレンジを加えてみる、

といった具合です。

そういう意識を常に持っていれば、

結果的に先人との差別化が
図れるようになり、

新規顧客の獲得に繋がっていくものと
感じております。

先人のモノマネをしているだけでは
顧客開拓は難しいということです。

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独立開業後10年を振り返って

今月末に、独立開業後、10年の節目を迎えます。

個人事業主の10年目の生存率は11.6%という
データがありますが、
※関連記事「個人事業主の生存率

お客様に恵まれたり、運が良かったりで、
この10年間は、総じて順調だったように思います。

私の予期しない事情で共同経営者が3名から2名になる
ハプニング?もありましたが、
むしろ、それから良い方向に向かった気がします。

「埼玉ナンバー1の特許事務所」
「経営者の年収*千万円以上」
「インキュベーションオフィスを早く卒業する」
「弁理士を数名雇用する」
「所員10名以上の規模にする」

今でも、10年前に掲げた目標を良く覚えています。

目標を達成したかどうかは別として、
今の環境や状況にほぼ満足しているので、
これからの先の目標は、ずばり「現状維持」です。

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彩都総合特許事務所 川越オフィス 所長弁理士のブログ